平家物語、高校の古文で習ったので覚えておられる人も多いだろう。
《祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり》で始まるこの物語の最後は後白河法皇が寂光院で建礼門院に会いに行った場面だ。
突然であったため、建礼門院は不在だった。
応対に出た尼僧の対応が見事であったことから、法王が《そなたは誰か》と言った。尼僧が驚き、激しく泣いた。
彼女は阿波の内侍だった。
《御所にいるときに、あんなに可愛がっていただいたのに、お忘れか・・》
あまりに様変わりしたので、法皇は気づかなかったのだ。
あるいは、法王の記憶があいまいだったのか。
しかし、その尼僧が《布か衣かわからぬ》服装だったというのであれば、やはり御所にいたときとは、服装も、そして容貌もあまりにも様変わりしており、わからなかったということだろう。
しばらくして建礼門院が返ってきたが、《墨染の衣》だったとなっている。
自分は《布か衣かわからぬ》のであっても、建礼門院には《墨染の衣》を用意する、本当に阿波の内侍はすごい。
こんな人なら、是非一回、会いたいものだ。
(もちろん会えないことはわかっているけれども)
(写真は寂光寺への階段 この時には寺は拝観時間を過ぎていた)