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「黄色い線までお下がりください」の問題点、わかりますか?

外部リンク:「黄色い線まで」から「点字ブロックまでお下がりください」に 駅アナウンスに見直しの動き

電車が駅に入ってくる際、駅の構内では案内放送が流れる。
「危険ですので、黄色い線の内側までお下がりください」
黄色い線のこともあれば、白い線のこともあるが、どちらにせよ、色のついた線の内側に下がれという放送である。
この放送は、例えば、電車を待って並んでいる人を避けて、線路側を急いで移動する会社員や、酔っ払ってふらふらしていた飲み会帰りの人などに、「もう電車が来るからここを歩いていたら危ないな」と気付かせてきただろう。
ただ、あくまでも、「視覚に障害のない人」に向けた放送内容になっていると言われると、まさにその通りである。

なぜなら、「黄色い線」「白い線」と言われても、全盲の人にはその線は見えないからである。
また、全盲でなかったとしても、視覚に障害のある方々には、色のついた線で表現されるとわかりにくいだろう。
そのため、JR西日本では、いちはやく2011年3月に、「黄色い線まで」との表現を「黄色い点字ブロックまで」に変更した。
また、阪急電鉄やJR東日本、JR九州などでも、「黄色い点字ブロック」に変更する動きが進んでいるようだ。

2016年に起きた青山一丁目駅の事故など、視覚障害者の方がホームから転落する事故を受けて、視覚障害者を含め様々な障害者にも安全でやさしい社会にしようとする動きは、近年少しずつ進んでいる。
ただ、そのときいつも反省するのは、障害者の方が問題だと感じることに、自分は気づけてすらいないことがよくあるということである。
今回の「黄色い線」「白い線」の問題点についても、これだと視覚障害者の方にはわからないということは、言われてみなければ気付かなかった。
JR西日本では8年も前から変更されているようだが、電車を利用しても、変更されていることすら気づかない。
「困っている人の立場に立って考える」ことは、口で言うのは簡単だが、なかなか難しい。
ただ、それでも、気づかなかったことを反省し、気づいたら気づいた人が声をあげ、社会を少しずつ変えていくために努力することは、非常に重要なことである。

(弁護士 岡井理紗)

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