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弁護士のああ言う、こう言う

新人弁護士のつぶやき第14回~郵便不正事件から

(MSN産経ニュースから)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100526/trl1005262046009-n1.htm

(記事の要約
障害者団体向けの郵便割引制度悪用に協力したとして、当時の村木厚子厚労省局長が虚偽有印公文書作成罪などに問われた刑事裁判が現在行われている。
裁判所は、捜査段階で関係者が話した内容を書いた供述調書は信用できないとして不採用とした。これにより、検察側は村木被告人の関与を立証する証拠がなくなり、村木被告人が無罪となる可能性が高まった。

(新人弁護士のコメント)
弁護士イラスト1検察は、捜査の際に、関係者が「あいつも犯人だ」と話していたという調書を取り、裁判に出します。
しかし、関係者が後に裁判で証言するときに、「あいつは犯人じゃない」と違うことを言い出すことも時々あります。
こんなとき、検察は、「証人は、捜査段階では『あいつも犯人だ』と話していた。調書を読んでくれ」と裁判所に訴えていきます。
ですが、個人的には、密室での取り調べでの話など信用できないと思っているので、今回の不採用決定は、いい傾向ではないでしょうか。

(先輩弁護士のディスカッション)
弁護士B 「今まではなんやかんや言いながら、裁判所は調書を採用して、一応見てから有罪か無罪かを判断していたんですけどね。」
弁護士A「裁判員制度を意識しているのではないでしょうか。あくまで密室での取り調べで作られた調書より、公開の法廷で述べられた証言を重んじるやり方が重視されているのでしょう。」
弁護士C「最近の裁判所は、大量の証拠を出すのではなく、裁判員のために証拠を少なくしろとうるさくなってきてますしね。」
弁護士B「取り調べ可視化の話も盛り上がってきているので、裁判所も調書を採用しづらくなったこともあると思いますよ。」
弁護士A「ちなみに、我々弁護人が出す証拠にも『ホントにこれ必要なの?』などとうるさく言われるようになりましたね。」
弁護士B「もし無罪になったら、検察官は控訴するのでしょうか?」
弁護士C「高裁でさらに『却下』と言われたらもうどうしようもないですけどね。」

(新人弁護士のつぶやき)
弁護士イラスト4裁判員裁判や、取り調べ可視化、といった政治の話が、裁判の現場にも影響を与えているようですね。もし無罪が出て、控訴されるとなると、それこそ裁判員裁判にも影響を与えそうですね。

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