大澤龍司法律事務所 相続問題無料相談ブログ

がんばれ、内部告発者たち

 

外部リンク:内部通報「役員や退職者も保護必要」 法改正向け報告書

 

内部通報者保護法とは、企業などの組織内の不正を内部通報した人を保護する法律である。

今、話題の日産自動車のゴーン事件なども、一種の内部通報問題である。

西川社長らの現経営陣は、ゴーンによる会社私物化という不正行為に憤り、加えて日産がルノーに吸収されたら困るという愛社精神もあっただろう。

内部通報者の心情も義憤と愛社精神という点ではほぼ同じである。

もうこのままは見過ごしておけないという観点からあえて行為に及んだのであり、会社に不正をさせたくないという強い気持ちでもあろう。

ただ、日産の場合には経営陣の権力闘争が絡んでいる。

内部通報者は自分が会社の支配を目指し、現状ではそれに成功しているのだから、会社から敵視され、排除される可能性はない(しかし、今後、ゴーンの無罪が確定すれば、そうも言っていられない状況になるが)。

これに対して、内部通報者はそのような立場ではない。

会社から《迫害》を受ける弱い立場であり、守られるべき必要がある。

外部に通報しなくても、会社内部で上司などに通報すればいいのではという反論がありそうだ。

そのようなことができる会社であれば、通報をする必要はない。

会社内では処理しきれないから通報するのである。

リンクした記事によると、内部通報の制度を作っている企業は70%程度という。

しかし、これらの会社にしても、果たして内部通報者を安全に守るしっかりとした形で制度が確立しているのかきわめて疑わしい。

徳川時代、8代将軍の吉宗が目安箱を江戸の街中に置き、庶民の意見を聞き、統治に利用したという。

支配者の目につかない組織の問題点を把握するためには、そのような現場からの声が必要不可欠だからであろう。

内部通報があるということは、その企業等に問題が発生しているということであり、それにもかかわらず企業がそれに対処していないということである。

そういう意味では内部通報は、その会社の問題点を教えてくれる貴重な情報である。

会社としてはこれを積極的に活用するべきではないだろうか。

今回の調査会では、通報者に対する不利益扱いをした場合の罰則等の新設も考えられていたようだ。

しかし、経営者側委員の反対でお流れになったという。

「乱用への懸念」が理由だというが、《乱用》ならその誤解を解けばいい。

企業にはそれが《乱用》かどうかを含めて、組織の点検をし、問題点を洗い出すに足るだけの十分な力がある。

反対する本当の理由は、「自分らの経営には間違いない、社内の従業員を含め、他社や他人には批判させない」という独善的な気持ちからだろう。

内部告発さえ、前向きの得難い情報ととらえなおして、イノベーションを進めていくという積極的、あるいは貪欲なまでの姿勢が、今の日本の企業に必要ではなかろうか。

そのためにも、通報者不利益に対する罰則は新設するべきだと思うが、皆様はいかがお考えだろうか。

なお、通報者に対する不利益処分で、現在、十数件の訴訟が提訴されているという。

最後に、弁護士の立場から言えば、外部にではなく、組織内部に告発や苦情の受け付けをする機関を設置するなら、その受付機関は社外に置き、弁護士で構成するなどの独立性及び秘密維持への配慮が必要であろう。

また、従業員がやむを得ず、外部の機関に告発した場合で、会社からの不利益を受けそうな気配を察したなら、早い段階で弁護士に相談されるといい。

私なら、現実に処分や不利益が発動される前に、会社に申し入れする等の予防的措置を早急に取ることを考えることになる。

(弁護士 大澤龍司)

 

 

 

(弁護士コメント)

北野:

 従業員にとって内部通報はかなりの勇気が必要なことである。

 なにせ勤務先や上司のやっていることに異議を唱えるわけであるから、ヘタをすれば職を失い、家族を路頭に迷わせかねない。家族や周囲の反対に遭って通報に及ぶ事を取りやめるケースも十分にあり得るだろう。

 そのためか、内部通報をする人物は退職者であることが少なくない。今回の報告書にあるように退職者や内部通報者を保護するシステムを作ること自体は歓迎されるべき事だろう。

しかし、会社内の内部通報システムには限界があると思う。

中間管理職(部長や課長)の不正問題であれば十分に活躍すると思うが、社長など経営トップのパワハラやセクハラ問題について、社長を敵に回す対処が可能だろうか。逆に社長に握りつぶされるのではないかと心配になる。

社内での通報者保護システムはもちろん早急に確立する必要があるが、並行して社外にも通報者を保護する社会的な受け皿を用意する必要がある。それは労基署のような公的機関かもしれないし、労働者の立場保護に当たる労働組合かもしれないし、我々弁護士なのかもしれない。

 

畝岡:

会社内では処理しきれない問題があるためになされた通報に対して、会社として適切な対処を行うことができるようサポートすることも弁護士の役割の一つである。

さらにいえば、通報の制度を整えることにより、(実際に通報がなされるかは別として)法的問題を未然に防ぐことができ、結局は(通報者の保護を図る制度を整備することを通して)企業として成長・発展ができることを、企業に説明することが弁護士の役割であると考えられる。

また、法律では定められていないことも、それぞれの企業の内情に応じて内部的な制度として整えることも弁護士としての重要な役割ではないだろうか。

 

 

岡井:

企業内の問題は、内部通報なくしてはなかなか表に出てこない。

食品偽装にしても、リコール隠しにしても、内部通報により明らかになったものである。

ただ、内部通報者は、まだまだ十分に守られておらず、自身の従業員生命を懸けて行わざるを得ないという現状にある。

今回、通報窓口の担当者に通報内容の守秘義務を課すことや、罰則を科すことが見送られたという。

しかし、通報内容から内部通報者が特定されることを防ぐため、守秘義務を課すことは最低限必要なことではないだろうか。

担当者の負担が重くなるというのも、理由としてよくわからない。

企業としては、通報担当者を外部の人間にし、会社に便宜を図らないような体制を整えるべきである。


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